平成17年の「右山控訴」に対する最高裁判決(贈与で取得したゴルフ会員
券の名義書換料は譲渡所得の計算上取得費に算入出来る)に端を発して、
相続・贈与により取得した不動産の名義書換(登記費用)は、事業供用資産
に対するものはその事業の必要経費とすることができ、それ以外の資産につ
いてはその資産を取得するための付随費用として取得費とすることが出来る
ようになった。
では、「遺産分割にかかる弁護士費用」も資産を取得するための付随費用
として取得費とすることが出来るのではないかと、訴訟が提起されていた。
残念ながら、H23年4月の東京高裁判決では、遺産分割は共有財産の分配で
あり、資産の取得をするための行為ではないので、これに要した費用は資産
を取得するための付随費用にも該当しないから取得費には算入できないと判
断された。
どうも理解できるような、できないようなうやむやな感覚である。
この後の最高裁判決ではどう判断されるのか、又これ以外にも「資産を取得
するための付随費用」が判断されるべき費用があるのか引き続き注目してい
こう。
税理士 中山 昌実